キンモクセイ
昨日まで どこにかくれていたの? と尋ねたくなるほど
普段は 薄い薄い存在感なのに。
香りが立ち始めると 一気に 道々の香りを占拠してしまう。
あぁ、そこにいたんだ… と 今年もやっぱり思い出す。
いつも突然に 香りはじめる キンモクセイ…。
わかりやすく なじみやすい香りゆえ
初めて覚えた木の香は キンモクセイ…。
そんな方が 大勢いると思います。
私が幼い頃 トイレの芳香剤といえば「キンモクセイ」
最近は ドラックストアでも殆ど見かけなくなったような…。
そのかわり ”お日さまの香り” であるとか ”プリンセスなんたら” であるとか…
最近の香り市場には????な香りがいっぱい。
キンモクセイの芳香剤 いまでもどこかに売っているのかな。
突然 香りを撒き散らしはじめて
あっという間に
そしていっせいに
いなくなってしまう キンモクセイの香り。
私たちにとって あまりにつかまえやすく すでに手垢がついた香りのようで
それゆえに 現実をちょっぴり忘れるための芳香としては 好まれなくなったのかな。
幼い頃 オレンジ色の小さな花弁を ビンの中に拾い集めたことがありました。
これでずっと キンモクセイの匂いをかげる! …そう大喜びしたのだけど
あっという間に香りが失せて 子供心に とても驚いたことを覚えています。
香りは 閉じ込めることはできないんだなぁって。
いままでどこで眠っていたのか 出遅れてしまったセミの かよわい鳴き声が
まだ 時折聞こえてくるこの時期
暑さからは解放されたけど、秋というにはまだ早い
夏と秋の ハザマの一瞬に 突然わいてくる
キンモクセイの香り
あと一週間もしないうち
はじめから存在しなかったように
また 街角から いっせいにいなくなってしまいます。
この記事へのコメントはありません。