１０年経ってしまったんだ。

今７０歳の人は　そのとき６０歳。
９歳の人は、まだ生まれていない。
ある人にとってはとても長くて、ある人にとってはとても短い。

１０年。

２０１１年３月１１日。

あの日から、この国の何かがすっかり変わってしまった。
変わってしまったものはそれっきり。
変わらないまま、そのまんま。
他人ごとではないんだな。

資本主義や個人主義。
今を生きる人間が、尊いと信じてきたことに、どれだけ多くの犠牲が払われてきたか。
誰かに訪れた、背負いきれない苦しみや悲しみ。
背負う人がいなければ、どこに行きつくんだろう。

あの日あの時刻。
博多駅にオープンしたばかりの百貨店のなかで。
遠い場所が揺れていることも知らず、のんびり買い物をしていたんだった。

その日の福岡市は、きれいな青空。
あんまり空が青いから、カメラを持って外へ出たんだった。

家の近所の、なんてことない景色。

この場所を写したくなった理由も、きれいさっぱり忘れてしまいました。

２０１１年３月１１日。
写した時刻は、１３時２１分４１秒。

その刻は、大勢の人がこの世界を生きていました。