◆2010年制作

FRIEDMOON・・・『お月様焼き』。
卵焼きにまつわる小さな物語。

私自身の幼い頃の体験がまざっています。

とても地味な作品です。
描きはじめてまもなく自分自身が退屈してしまったくらい（笑）。

作中で少しだけ触れたのですが、
かの有名なRobert Flack(ロバータ・フラック)バージョンの
『The First Time Ever I Saw Your Face』
（邦題：愛は面影の中に）
この曲を聴いているときに、ストーリを思いつきました。
作業中は、ずっとリピート再生していました。

原曲は熱烈な恋愛ソングで、作品の核となる母娘の情愛とは志向が違うのですが、コントラバスの響きとロバータ・フラックの深い歌声が重なると、ありがちな眺めが、なんとも懐かしく、二度と手が届かない尊い景色に変わるようで。
この曲は、石ころのような記憶に淡いセピアのフィルターをかけてくれた魔法の一曲となりました。

この曲のおかげで、私自身が、大嫌いだったこの作品を懐かしく思い出せるようになったのかもしれません。
時が経ち、この作品も思い出に変わったんですね。