◆2009年制作

初めて仕上げた漫画作品。92ページ（長い…）
この作品で、第56回ちばてつや賞一般部門に準入選しました。
当時の編集部にはまだ昭和の編集者が残っていらして、こういった地味な人情物でも賞をいただける余地がありました。2020年代の昨今では、もはや箸にも棒にも、爪楊枝にすら引っかからない作品だと思います。

舞台は札幌市の住宅街。
子連れの出戻り娘と、突然死で妻をなくした老ヤモメの父の確執。そこにからむ幼い孫娘。
三人が繰り広げるささやかな日常風景。
今読み返すと時空が歪んで見えるような絵、下手くそですね～。
当時は、手探りで進めていたアナログ作業が楽しくてたまらなかった記憶があります。
特にトーン削りは練習を重ねて、うまく削れると嬉しかったです。
初めの一歩でもあり、思い出深い作品です。

作品を描く際は、作業している間中、ほぼエンドレスで聴いている曲があります。
作品のバックグラウンドミュージック、という感じですかね。
この作品では
◆Radiohead『How To Disappear Completely』(Kid A より)

私の、地味でどんくさい作風は、洗練されたこの曲の深さ高さのおよびでないですが、この曲を聴くと今でも『フクノカミ』を描いていたあの頃の、心の景色が浮かんできます。
大好きなアルバム『Kid A』の大好きな一曲です。

※アナログ原稿をスキャンしたため、モアレ等で非常に見にくいページがございます。ご了承ください。